背景
テキサス州オースティンに拠点を置くスタートアップ企業であるNexTech IoTは、製造工場向けの産業用IoT（IIoT）センサーを開発しています。これらのセンサーは、設備の温度、振動、エネルギー使用量をリアルタイムで監視します。2023年、同社は主力製品であるNexSensor X1の発売を準備していましたが、大きな課題に直面していました。それは、6ヶ月分のセンサーデータ（2TB容量）を保存でき、過酷な産業環境（-40℃～85℃の温度、埃、振動）に耐えることができる、小型で耐久性の高いSSDが必要だったことです。
NexTechの要件を満たす既製のSSDはありませんでした。プレミアム産業用SSDは1台あたり200ドル以上もするため、NexSensor X1は中小規模のメーカー（スタートアップのターゲット市場）にとって高価になりすぎてしまいます。
課題
NexTechの主なニーズは、カスタマイズ性、耐久性、コストでした。
- 環境耐久性: SSDは、極端な温度（-40℃～85℃）で動作し、埃や振動に耐える必要がありました。標準的なコンシューマー向けSSDは0℃～70℃でしか動作せず、耐振動性もありません。
- フォームファクター: NexSensor X1のコンパクトな設計では、デバイスの筐体に収めるために、M.2 2242 SSD（標準の2280サイズよりも小さい）が必要でした。
- コスト目標: NexSensor X1を399ドル（ターゲット顧客にとって手頃な価格）で販売するためには、SSDのコストを1台あたり80ドル以下にする必要がありました。これは、競合他社の産業グレードSSDの200ドル以上の価格をはるかに下回るものでした。
ソリューション：LASTINGINによるカスタムM.2 2242 SSD
NexTechの創業者であるMike Reynoldsは、LASTINGINのアリババでのODM/OEM能力を発見し、2023年第1四半期にパートナーシップを開始しました。Ayogoo Technologyの研究開発チームは、NexTechと緊密に連携して、カスタマイズされたソリューションを開発しました。- 環境強化: LASTINGINは、標準のM.2 NVMe SSDを産業要件に合わせて変更しました。
- パートナーであるSK hynixから調達した高温対応NANDフラッシュチップ（-40℃～85℃対応）を使用。
- SSDの回路基板に防塵コーティングを施し、筐体の周囲に防振ゴムガスケットを追加。
- カスタムフォームファクター: メーカーは、2TBの容量を維持しながら、SSDをM.2 2242サイズ（幅22mm、長さ42mm）に再設計しました。これは、NANDチップとコントローラーのレイアウトを最適化することで実現しました。
- コスト最適化: 大規模な生産能力（年間300万個以上）と、コンポーネントサプライヤーとの既存のパートナーシップを活用することにより、LASTING in 久内は、カスタムSSDを1台あたり75ドルで提供しました。これはNexTechのコスト目標を達成しました。また、スタートアップは、新しいODMクライアントとして、最初の1,000個について10％の割引を受けました。
信頼性を確保するために、LASTINGINは、50個のプロトタイプSSDを、シミュレートされた産業環境（極端な温度、振動）で30日間テストしました。すべてデータ損失やパフォーマンスの問題なく合格しました。また、SSDはCEおよびFC認証を取得し、米国の産業規格への準拠を保証しました。
結果
NexSensor X1は2023年9月に発売され、LASTING in 久内のカスタムSSDを中核としていました。結果は目覚ましいものでした。- 製品の成功: NexSensor X1は、最初の3ヶ月で2,500台を販売し、NexTechの目標である1,500台を超えました。顧客の80％が、デバイスの「信頼性の高いデータストレージ」を、購入の主な理由として挙げています。
- コスト効率: 75ドルのSSDコストにより、NexSensor X1の価格は399ドルに抑えられ、競合他社の産業用IoTセンサー（599ドル以上で販売）よりも30％安価になりました。
- 長期的な信頼性: 2024年3月の時点で、NexTechはSSDの故障に関する苦情を1件も受け取っていません。これは、製鉄所（最大80℃の温度）や建設現場（高振動）で使用している顧客からも同様です。
「LASTINGINは、単にSSDを製造したのではなく、私たちの製品の重要な部分を構築してくれました」とMike Reynoldsは述べています。「彼らが、私たちの産業ニーズに合わせて、私たちが手頃な価格でカスタマイズできる能力を持っていたため、発売が可能になりました。私たちはすでに、NexSensorの次期バージョンについて彼らと協力しています。」 - 環境強化: LASTINGINは、標準のM.2 NVMe SSDを産業要件に合わせて変更しました。